青森出身の文豪・太宰治の作品、「津軽」の一節にも「好物の蟹の山を眺めて夜の更けるまで飲み続けた」とあるほど、太宰は大のトゲクリガニ(花見ガニ)好きだったと言われています。
トゲクリガニの主要産地である青森県では、花見の季節に旬を迎えることから「花見ガニ」とも呼ばれています。
コロリとした丸い姿のトゲクリガニは、名前の由来が「食味が栗のように甘いことから」、「上から見た甲羅の形が栗のようであるから」、と諸説ありますが、「毛ガニ」の親戚のような種類です。
輸入ものもなく毛ガニに比べるともともと取れる量が少ないため、ほぼ地元で消費されることが多く、関東ではなかなかお目にかかれない貴重な食材なのです。
青森では花見の季節によく見かける「花見のお供」なのですが、馴染みのない地域の方には青森がカニの産地であるということも、知られていないかもしれませんね。
少し小ぶりで足が短いため足の身は少なめですが、肩の部分にも身が詰まっており、全て集めると意外な量になります。
また、黄色いミソの部分が美味しいと言われていますが、更にオレンジ色が美しいメスの内子が絶品!オスよりも高値で取引されているほどです。
トゲクリガニといえば、花見。
桜の花の下で、花見ガニを囲んで宴会をしているシーンを思い出します。
細い足の部分を吸ったり、身を取り出したり。
宴会とはいえ、花見ガニを食べている最中は終始無言。
そんなところもまた、風物詩のようなものです(笑)
花見ガニを見ると、幼い頃祖母が、「ほらガニ!けぇ!」(カニを食べなさい)と、ボイルしたトゲクリガニをテーブルにドン!と置くシーンを思い出します。
皆様も花見ガニ(トゲクリガニ)を囲んで、青森の「春の風物詩」を堪能してみてはいかがでしょうか?
トゲクリガニの美味しい食べ方
・茹で方
毛ガニと同じように茹でます。
表面の汚れを落として、たっぷりの水に3%ほどの塩を入れて甲羅を下にしてカニを入れます。
(塩が薄いとカニの旨味が逃げてしまうので注意してください)
水から茹で、沸騰してから10分から15分ほど茹でます。
※輪ゴム等で足がバラバラにならないようにコンパクトにまとめて茹でると扱いやすいです。
茹で上がったら、甲羅を下にして冷ましていただきます。
・トゲクリガニを使ったアレンジ
むき身は、サラダやカニ玉、コロッケなど何にでも使えます。
お酒のアテに、贅沢にそのままいただく食べ方もありますが、ミソや内子の美味しさが他のカニよりも特に際立つので、ミソをクリーム等で伸ばして濃厚ソースを作るのも料理に活かせてオススメですよ♪
カニミソのソースと身を使ってパスタにするイタリアン風にアレンジしたり。
白身魚のムニエルにソースとしてかけてフレンチ風にアレンジしてみたり。
ミソと身を一緒にクラッカーに乗せるだけでも、豪華なカナッペが完成します。
そういえば昔からうちの食卓では、むき身を使ったマカロニサラダが定番でした。
子供の頃から食べていたので、お子さんでも食べやすいと思います。
花見ガニと言われるくらいなので、お酒との相性もとても良いです。日本酒やワイン、シャンパンなど、お好きなお酒に合わせてアレンジして楽しむのも良いですね。